先日「ミシュランガイド タイ 2020」が発表されましたが、今年も3つ星獲得のレストランはなく、2つ星が5店、1つ星が24店という結果に。「80/20」「Table 38」「Chef’s Table」が新たに1つ星に加わりましたが、そのほかはあまり顔ぶれに変化がなかったなぁ…というのが正直な感想でした。
経済的にも、なかなか星付きのお店には行くチャンスがありませんが、個人的に参考にしているのが「Plate(プレート)」「Bib Gourmand(ビブグルマン)」の掲載店。予約が取りやすかったり、コースメニューも手の届きやすい価格が多いので、ちょくちょく足を運んでいます。
今回ご紹介したいのは、前述の「ミシュランガイド タイ 2020」にも「Plate」枠で2年連続掲載されているレストラン「CUISINE de GARDEN」です。賑やかなエカマイ通りから、小道を1本入ったところにある、ギャラリーのような内装のレストランです。
CUISINE de GARDENへのアクセス
BTSエカマイ駅の1番出口を降りて、エカマイ通り(スクンビット63)を北へ進みます。右手にセブンイレブンが見えたらその角を右に曲がってください。駅からは徒歩7〜8分です。
CUISINE de GARDEN
12/6 EKKAMAI SOI 2 PHRAKANONG WATTANA 10110
https://www.cuisinedegarden.com/
営業時間:18:00〜23:00
定休日:日曜
CUISINE de GARDENのコンセプト
CUISINE de GARDENのオープンは2017年。チェンマイに開いたレストランが人気を集め、バンコクにも支店をオープンしました。そのどちらもがミシュランガイドに掲載される実力店です。
店舗デザインのコンセプトは、とてもポエティック。訳すのは野暮な感じがするので、原文のまま引用します。
You’ll find yourself dining under the trees on a starry night, while taking on the nature inspired culinary journey.
ガラス張りの空間は、ライティングを極力落としているので、外から店内に入った時も周囲の夜の静けさと一続きになっているような不思議な感覚に陥ります。
店内には本物の木がいくつも植えられており、室内にいるのに森の中で食事をしているような雰囲気で、とてもロマンティックです。
CUISINE de GARDENのテイスティングメニュー
10 Course Tasting Menu 1,950B++
CUISINE de GARDENのメニューは10品のテイスティングメニューのみです。3〜4ヶ月ごとにコース内容は変更になり、現在は秋の実りをイメージしたメニューになっています。来年の初めまでは今回ご紹介するコース内容が提供されるそうです。(12月16日〜29日は9品2,950B++のFESTIVE MENUが登場)
1品目 FALLEN LEAF
シェフのNan氏はチェンマイの出身。テイスティングメニューはそのルーツを思わせる「自然」にインスパイアされたコース構成になっており、「落ち葉」「水田」「巣」「露」など想像力を掻き立てる名前の料理が並んでいます。
一品目は落ち葉の形をした自家製のブリオッシュを、美しい木のトレイでサーブ。クリーミーで少し塩気と酸味のある発酵魚のリエットと一緒にいただきます。ブリオッシュの焼き色が本当にいい色で、秋の紅葉を思わせます。
2品目 RICE FIELD
木製のスプーンの上に広がっているのは、「水田」に見立てたライスベリーの粉末。この下には牛肉のタルタルが隠れています。添えられているのは、雷魚と野菜のグリルをタマリンドの葉で包んだもの。前半戦から、独創的なメニューが続きます…!
3品目 SNAIL PRAWN
次はカタツムリ(巻貝)とエビという名前の付いた一品。澄んだ渓流の石を思わせる敷き詰められた黒い石の上に、巻貝に入ったスラーターニー産のエビが乗っています。
貝殻の中に入ったパッションフルーツソースをディップしていただきます。弾力があって身がプリッと引き締まったエビにフルーティ&スパイシーなソースがよく合う!素手を使って食べるのも、童心に返ったような気分で楽しいです。
4品目 KRA-DONG
前半戦のハイライトとなるのが、このKRA-DONG。クラドンというのは、昔のタイで、食べ物を保存するために入れていたカゴのことを言うそうです。カゴに盛られているのは、泡を吹いた蟹!
この泡はココナッツからできていて、泡をすくっていくと、蟹味噌ならぬ蟹とアボカドのタルタルがおでまし。チャクラムと言うおかひじきのような食感の野菜のサラダが添えられています。独特の塩気と風味のある野菜で印象的でした。
5品目 HIGHLAND CAVIAR
高地のキャビアと名付けられたこの一品のインスピレーションは、フィンガーライム(別名:森のキャビア)と呼ばれる珍しいフルーツから。
山に見立てた北海道産のホタテの上に植物が咲く高原の風景のイメージでしょうか。フィンガーライムとイクラのプチプチ食感も楽しく、味噌仕立てのサバイヨンソースがホタテの甘味を引き立てています。
6品目 ORIGAMI
メインディッシュへ向かう前の箸休めには、折り紙からインスパイアされたスープ仕立てのハゼが登場。包みの紐を解くと、タイハーブと出汁のアロマが一瞬で広がります。
見た目は食べるハーブボールみたいな感じ(笑)で斬新ですが、日本人には落ち着く、淡白で滋味深い美味しさです。
7品目 NEST
7品目は、思わず笑顔になってしまうほど可愛らしい「鳥の巣」が運ばれてきました。細切りにしたチキンソテーの上に、素揚げした米麺(センミー)で作った巣を乗せ、オーガニックの温泉卵を巣の中に割り入れて食べます。
使われている食材や味付けも、10品の中で一番タイ料理らしいメニューでしたが、トリュフが隠し味になっていて美味しかったです。
8品目 RAINFOREST
メインは魚か肉を選べますが、私は400Bプラスして岩手牛のステーキにしました。カカオスパイスでソテーされていて、季節のキノコと一緒に盛り付けられています。お皿の縁にはテントウムシ(唐辛子のチャツネ)がとまっています!
9品目 DEW
9品目と10品目はデザートです。まず驚いたのが、タイの伝統的なデザート「カオニャオマムアン」の斬新なアレンジ。季節のマンゴーと、米粒に見立てたマンゴーシャーベット、ホイップクリームが発酵米のクリームになっています。
真ん中の雫のようなゼリーがとても爽やかで、色々な味と食感を楽しめるデザートです。
10品目 TERRAIN
最後はTERRAIN(地形)と名付けられた3種のデザートが登場。木箱に入った標本のようにも見えます。それぞれ、貝殻(=フィナンシェ)、トリュフ(プチシュー)、石(チョコレート)なのですが、いつまでも眺めていたい美しさ!
このチョコレートはパイナップルチリソースのガナッシュで、とても美味しかったです…!リアルな石にそっくりの職人技に感動です。
私はアルコールに弱いので、ドリンクはワインを前半に少しと、スパークリングウォーターを一緒にいただきました。お酒好きの方なら、ワインペアリング(1,490B)で楽しむのも良いかもしれません!
イノベーティブ系のレストランの中でも、斬新さが売りというよりは、コースの流れやバランスが良く、飽きずに全品美味しくいただくことができました! とても雰囲気が良いので記念日ディナーにおすすめ。大人の素敵なタイ人カップルで賑わっていました。またメニューが変わった頃に行きたいなぁ。
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