最近のバンコクで個人的に注目しているキーワードが「原点回帰」。タイは地震が少なく、古い建物が比較的良い保存状態で残っていることもあるのか、リノベーションを施しながら若い世代が新しい感性を加えてファミリービジネスを続けているケースがよく見られます。
そんな原点回帰のケースの最高峰と言えるのが、先日タイの小売財閥最大手「セントラル・グループ」がジャルンクルン通りに開いた「Central:The Original Store」。
「セントラル・グループ」の原点は、1920年代に中国・海南島からタイにやってきたジラティワット家が1947年に創業した貿易会社「中央洋行」。1950年に初めての店舗を構えたのが、現在「Central:The Original Store」の建つジャルンクルン 1266番地だったそう。
70年の時を経て、創業の地にオープンした「Central:The Original Store」。5階建てのビルにカフェ、図書館、ギャラリー、レストランなどが入居する複合施設になっています。
ベルギーの建築家Vincent Van Duysenが手がけた、ソリッドで重厚な建築デザインも素晴らしいです。さらにTRIPSTERの野村訓市氏がジャズラウンジとレストランの店舗デザインで参加しているのも日本人としては見逃せないところ。早速見どころを紹介していきます!
Central:The Original Store
1266 CHAROEN KRUNG ROAD
BANGRAK, BANGKOK 10500
営業時間
カフェ 水曜〜日曜 8:30〜18:00
ショップ、ライブラリー 水曜〜日曜 11:00〜19:00
ミュージックバー 水曜〜日曜 18:00〜01:00
レストラン(AKSORN) 水曜〜日曜 18:30〜24:00
+662-267-0412(代表電話)
http://www.centraltheoriginalstore.com/
1F SIWILAI CAFE
入口を入ってすぐの所には、カウンター席のみのコーヒーバー「SIWILAI CAFE」があります。セントラルエンバシーに入っているセレクトショップ「SIWILAI」の支店で、スーベニアショップに隣接しています。
コーヒー豆はタイ北部ナーンのものを使っています。コールドブリューも3種類と豊富です。
1F Souvenir Shop
「Central:The Original Store」の顔となるスペースには、お土産に良さそうなオリジナルロゴの入ったグッズが豊富です。セントラル創業以降の1950〜70年代の空気感を反映させた古書やデッドストックの展示もあって、見ごたえがあります。
大橋歩さんのイラストレーションがカッコよすぎる「平凡パンチ」も!この時代のファッションイラストレーションって本当に素敵ですよね。
プロダクトデザインが今見ても秀逸な、懐かしのデッドストックたち。まだまだ現役のタイ製品もありますね!
セントラルのロゴが入ったラバー製のキーホルダー(150THB)。昔のホテルのルームキーのようなデザインで、昭和生まれにはグッときます(笑)。
1F SIWILAI SOUND CLUB
スーベニアショップの奥にはミュージックバー「SIWILAI SOUND CLUB」があります。中央のグランドピアノを囲むように深紅のボックスシートがあり、大人の空間に仕上がっています。
天井はガラス屋根になっていて、やわらかな自然光が射し込む心地の良い空間です。
このスペースでサンドイッチやパスタなどの軽食を食べることもできます。この日はお店のシグネチャーでもあるハイナンチキンオーバーライス(180THB)を食べました。出汁がしっかり染みたライスとしっとりジューシーなチキンでとても美味しかったです!
2F THE KOLOPHON
2階には会員制の図書館「THE KOLOPHON」があります。セントラルエンバシー最上階の書店「Open House」と同じディレクターさんによる選書で、アート、デザイン、ファッション、食関係の本が充実しています。
年間会員(1,500THB〜)になると世界のデジタルデータベースや電子書籍閲覧、リサーチ代行サービスなどを利用できるそうです。見学は無料で、10月以降はドロップインで100THBを支払うと誰でも利用できるとのことでした。
コワーキングスペースというよりは、リサーチセンターとしての利用が想定されています。スタートアップの起業家やフリーランスの人にはとても心強いサービスじゃないかなと思います。
3・4階にはギャラリー/イベントスペース、5階にはNahm創業者のデヴィッド・トンプソン氏による新しいレストラン「AKSORN」がオープンしました。こちらも大注目のレストランですが、食べに行った暁には感想を追記したいと思います!
ざっと回って見た感想は、いわゆる商業施設ではなくストーリーを伝えるミュージアムのような役割も果たす文化複合施設なのかな、と感じました。セントラルがこの70年間、ショッピング体験を通じて伝えてきたライフスタイル、カルチャーの歴史をアーカイブするコンセプトストアというのが狙いなのかなと思います。21世紀のデパート文化も牽引していくという、強い意志も感じられるような素敵な施設でした。
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